厚生労働省保険局の新型コロナウイルスの行政通知

1 令和2年2月28日付け通知

厚生労働省のコロナウイルスに関する令和2年2月28日付けの行政通知をご紹介します。

コロナウイルスについて付言しますと、現在、厚生労働省は適切な対応に注力しているはずですが、歯科を含む保険診療の厚生局個別指導については、厚生局の指導課の職員などは、マスクをして指導を実施するなどの対応をしています。また、個別指導や監査などで、換気のための休憩時間をこまめに設けている厚生局事務所もあります。

個別指導では、閉鎖的な状況で長時間の面談となることから、コロナウイルスの感染リスクは否定できず、また、医療機関の職員に対するものであることにも鑑みれば、その実施について慎重な判断をすべきと思われます。


新型コロナウイルス感染症に係る帰国者・接触者外来の受診時における被保険者資格証明書の取扱いについて

発熱症状等新型コロナウイルス感染症の発症の疑いがある場合には、帰国者・接触者相談センターに相談の上、帰国者・接触者外来の受診を行うこととなる。この場合、国民健康保険被保険者資格証明書(以下、「資格証明書」という。)を交付されている国民健康保険の被保険者については、受診前に市町村の窓口に納付相談や保険料の納付のために訪れることは、感染拡大を防止する必要性から避ける必要があり、これは、保険料を納付することができないと認められる事情があると考えられることから、本来、資格証明書ではなく短期の被保険者証の交付対象となり得るところであるが、当該者については、短期の被保険者証の交付に比べ帰国者・接触者外来への受診を優先する必要があることから、帰国者・接触者外来の受診の際の資格証明書の取扱いについて、下記のとおりとりまとめたので、管内の保険者、国民健康保険団体連合会、保険医療機関等に対し、周知を徹底されたい。
併せて、帰国者・接触者相談センター担当部局にも周知を図るようお願いする。

 記


第一 帰国者・接触者外来受診時における資格証明書の取扱いについて

帰国者・接触者外来を設置する保険医療機関及び帰国者・接触者外来において交付された処方せんに基づき療養の給付を行う保険薬局にあっては、国民健康保険の被保険者が帰国者・接触者外来を受診した際に資格証明書を提示した場合は、当該月の療養については、当該資格証明書を被保険者証とみなして取り扱うこと。
なお、被保険者が70歳から74歳までの場合の一部負担金の割合は、保険者に電話等で確認の上判断すること。保険者との確認が困難な場合は、3割として取り扱うこと。
また、当該保険医療機関は、資格証明書を提示した者に対して処方せんを発行する場合には、処方せんの備考欄に「(発) 」と記載すること。
本取扱いは、3月診療分から適用することとする。


第二 請求及び支払時における留意点について

第一に伴う診療報酬の請求に当たっては、特別療養費請求書ではなく、被保険者証による受診と同様の取扱いによること。
国民健康保険団体連合会及び保険者においては、帰国者・接触者外来を設置する保険医療機関等に関しては、第一のとおり資格証明書を被保険者証とみなして取り扱われることを踏まえ、当該保険医療機関等からの資格証明書が交付された被保険者に関する請求に対する審査・支払に当たっては機械的に返戻等を行わないよう留意すること。


第三 その他

第一による取扱いについては、帰国者・接触者相談センター担当部局に伝えるなど、必要な連携を図ること。

以上


2 令和2年2月28日付け事務連絡

続いて、先ほどの通知に続くものとして、厚生労働省のコロナウイルスに関する令和2年2月28日付けの事務連絡をご紹介します。

事務連絡では、薬局での対応についての記載がなされています。

薬局での基本的な調剤の流れや保険薬局の取消処分・保険薬剤師の取消処分などについては、弁護士による薬局個別指導(厚生局)のウェブページでのコラムの一覧が参考になります。厚生局の個別指導に臨む場合は、まずそのルール・運用を把握することが何より大切です。


新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その2)

問1

事務連絡の「1」にあるように、慢性疾患等を有する定期受診患者等について、医師が電話や情報通信機器を用いて診療し医薬品の処方を行い、ファクシミリ等で処方箋情報が送付される場合、保険医療機関は、電話等再診料、処方箋料を算定できるか。

(答)

算定できる。


問2

問1について、電話や情報通信機器を用いて診療を行った場合は、電話等再診料とオンライン診療料のいずれを算定するのか。

(答)

問1の場合については、電話等再診料を算定すること。


問3

ファクシミリ等により処方箋情報を受け付けた保険薬局において、当該処方箋情報に基づく調剤を行った場合、調剤技術料及び薬剤料は算定できるのか。
また、事務連絡の「3」にあるように、患者に薬剤を渡し、電話や情報通信機器を用いて服薬指導を行った場合、薬剤服用歴管理指導料等の薬剤師からの説明が要件となっている点数は算定できるのか。

(答)

調剤技術料及び薬剤料は算定できる。
薬剤服用歴管理指導料等は、電話や情報通信機器を用いて適切な指導を行っており、その他の要件を満たしていれば算定できる。


新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて

慢性疾患等を有する定期受診患者等に係る電話や情報通信機器を用いた診療、処方箋の送付及びその調剤等に関する留意点について


1.電話や情報通信機器を用いて診療し医薬品の処方を行い、ファクシミリ等で処方箋情報が送付される場合

・ 新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、慢性疾患等を有する定期受診患者等について、当該慢性疾患等に対する医薬品が必要な場合、感染源と接する機会を少なくするため、一般的に、長期投与によって、なるべく受診間隔を空けるように努めることが原則であるが、既に診断されている慢性疾患等に対して医薬品が必要になった場合には、電話や情報通信機器を用いて診察した医師は、これまでも当該患者に対して処方されていた慢性疾患治療薬を処方の上、処方箋情報を、ファクシミリ等により、患者が希望する薬局に送付し、薬局はその処方箋情報に基づき調剤する。

注)処方箋情報のファクシミリ等による送付は、医療機関から薬局に行うことを原則とするが、患者が希望する場合には、患者自身が処方箋情報を薬局にファクシミリ等により送付することも差し支えない。

・ ただし、新型コロナウイルスへの感染を疑う患者の診療は、「視診」や「問診」だけでは診断や重症度の評価が困難であり、初診から電話や情報通信機器を用いて診療を行った場合、重症化のおそれもあることから、初診で電話や情報通信機器を用いた診療を行うことが許容される場合には該当せず、直接の対面による診療を行うこと。

・ なお、新型コロナウイルスへの感染者との濃厚接触が疑われる患者や疑似症を有し新型コロナウイルスへの感染を疑う患者について、電話や情報通信機器を用いて、対面を要しない健康医療相談や受診勧奨を行うことは差し支えない。その場合、新型コロナウイルスを疑った場合の症例の定義などを参考に、必要に応じて、帰国者・接触者相談センターに相談することを勧奨することとする。


2.医療機関における対応

・ 新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、電話や情報通信機器を用いた診療で処方する場合、慢性疾患等を有する定期受診患者等について、当該患者が複数回以上受診しているかかりつけ医等が、その利便性や有効性が危険性等を上回ると判断した場合において、これまでも当該患者に対して処方されていた慢性疾患治療薬を電話や情報通信機器を用いた診療で処方することは、事前に診療計画が作成されていない場合であっても差し支えないこととする。

・ 電話や情報通信機器を用いた診療で処方する場合、患者の同意を得て、医療機関から患者が希望する薬局にファクシミリ等により処方箋情報を送付することとして差し支えない。

・ 医療機関は、処方箋を保管し、後日、薬局に当該処方箋を送付するか、当該患者が医療機関を受診した際に当該処方箋を手渡し、薬局に持参させる。

・ 医師は、ファクシミリ等により処方箋情報を薬局に送付した場合は、診療録に送付先の薬局を記録すること。

・ 医師は、3.により、薬局から、患者から処方箋情報のファクシミリ等による送付があった旨の連絡があった場合にも、診療録に当該薬局を記録すること。この場合に、同一の処方箋情報が複数の薬局に送付されていないことを確認すること。


3.薬局における対応

・ 患者からファクシミリ等による処方箋情報の送付を受け付けた薬局は、その真偽を確認するため、処方箋を発行した医師が所属する医療機関に、処方箋の内容を確認する(この行為は、薬剤師法第24条に基づく疑義照会とは別途に、必ず行うこととする)。なお、患者を介さずに医療機関からファクシミリ等による処方箋情報の送付を直接受けた場合には、この確認行為は行わなくてもよい。

・ 医療機関から処方箋原本を入手するまでの間は、ファクシミリ等により送付された処方箋を薬剤師法(昭和 35 年法律第 146 号)第 23 条~第 27 条、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号)第 49 条における処方箋とみなして調剤等を行う。

・ 調剤した薬剤は、患者と相談の上、当該薬剤の品質の保持や、確実な授与等がなされる方法で患者へ渡し、服薬指導は電話や情報通信機器を用いて行うこととしても差し支えない。また、長期処方に伴う患者の服薬アドヒアランスの低下や薬剤の紛失等を回避するため、調剤後も、必要に応じ電話や情報通信機器を用いて服薬指導等を実施する。

・ 可能な時期に医療機関から処方箋原本を入手し、以前にファクシミリ等で送付された処方箋情報とともに保管すること。


本ページの行政通知の紹介は以上となります。

コロナウイルス関係の診療報酬請求の取扱いは、複雑で煩雑ですが、最新の情報にキャッチアップすることが求められます。

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